CCK代表 モンセ・マリのバルセロナ便り Vol.2
「2004年のサン・ジョルディの日」



不定期にお届けしている「CCK代表モンセ・マリのバルセロナ便り」。
今回のテーマは「サン・ジョルディの日」です。

ご存知の方も多いと思いますが、「サン・ジョルディの日」はカタルーニャ地方の伝統的な祝祭日で、バラと本を贈り合う習慣があります。この日、街には多くの花や本の市が立ち並び、人々はプレゼント用、そして自分のためにも本や薔薇を買い求めます。
*「サン・ジョルディの日」についてはこちらをご覧下さい。

では、 「モンセ・マリのバルセロナ便り〜サン・ジョルディの日編〜」をお楽しみ下さい。




4月23日のサン・ジョルディの日とは、一体何の日なのでしょうか?
愛の日?それとも友情の日?あるいは文化の日?はたまた愛国心の日?

おそらく、サン・ジョルディのお祭りはそれらすべてのもの、そしてそれ以上のものを意味しているでしょう。今日(4/23)の午後、家に向かって歩いていると、すべてのカタルーニャ人が“生きる意欲”を表現するため通 りへ出て来たかのような感覚に陥りました。たぶんこの感覚を共有できなかった唯一の人間は私だったのではないでしょうか?というのも、私といえば、ランブラス通 りにゆっくりと押し寄せる波のような群集の中で、ひたすら息苦さを覚えていたのですから。

ランブラス通りに立ち並ぶ本や花の市。街には老若男女が繰り出します。


でも、しばらくするとその違和感は好奇心へと変わっていきました。通 りに溢れるバラはまるでそれぞれの物語を語っているかのようです。私は行き交う女性たちの表情を眺めながら、「彼女たちが生涯愛する人ってどんな人だろう?今手にしているバラは彼にもらったもの?それとも、日本のバレンタインデーのようなただのお約束のプレゼント?」などと、色々な事を想像して楽しんでいました。


そのバラは彼にもらったの?

バラが赤なんて誰が決めた?



歩を進めるうちに、私の興味の鉾先は本に向けられました。人はまず本のタイトルに魅せられ、次いでそれを手に取りページをめくりたいという衝動にかられ、そしてついには値段をたずね、購入するに至ります。でも、そこで終わればいいほうです。面 白いのは、1冊目を買ってしまえば2册目以降は何の抵抗もなく買えてしまうということで、「バラを手にした男友達が誰か訪ねてくるだろうから、バラのお返しにこの本が必要になるわ、きっと」などという空想さえし始めているのです。


みんな真剣に本を選んでいます

マトリクス風のカップルが手にしている本は?



そして私も母に本を買って帰ったのですが、母は自分の書架にはたくさんの本があり、全て読み終えるにはあと何十年生きても時間が足りないと言って笑っていました。そこで、私たちはすべての本を読破し、1冊1冊に秘められた神秘を見つけるということが希望に過ぎないとしても、出来るだけ長生できるようがんばろうね!と約束しました。

刑事コロンボ(!?)を探せ!


ところで、カタルーニャ人やスペイン人には、どちらかというと照れ屋さんが多いのではないかと私は思っています。こんな風に言うと笑う人もいるでしょうが、私たちは気持ちを言葉に表すことが苦手なのです。だからこそ、サン・ジョルディの日は、日頃口にできない気持ちを表現するにはもってこいの日なのです。もし、バラで太ってしまうとすれば、サン・ジョルディの日の夜、私たちは3〜5kgは太ってしまうでしょう。でもそこはチョコレートとは違い、バラが満たすものは心であって、胃ではないのです。

とにもかくにも、皆様も素晴らしいサン・ジョルディの日を過ごされ、また『世界本の日』ということで素晴らしい本に巡り会われ、あるいは、もしかしたらご自身で本の執筆を始められたなんてことも含め、お祈りしています。

バルセロナより愛を込めて
モンセ・マリ



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