Sant Jordi 2010 『世界本の日』記念
第5回 絵本翻訳コンテスト

"El lleó de set colors"

San Jordi 2010
Concurs de Traducció "El lleó de set colors"

en català




多数のご応募ありがとうございました。
受賞者などの結果はこちらをご覧下さい。
最優秀賞作品はこちら
授賞式の様子はこちら






応募要項


応募資格:特になし(年齢・国籍・資格など不問)

翻訳課題:El lleó de set colors」(カタルーニャ語) / 「El león de siete colores」(スペイン語) を日本語に翻訳。
*スペイン語版から翻訳していただいてももちろん構いませんが、オリジナルがカタルーニャ語版ですので、カタルーニャ語版のニュアンスを大切にして翻訳してください。(カタルーニャ語の辞書サイトはこちら


翻訳言語:カタルーニャ語もしくはスペイン語から日本語への翻訳

応募方法:

1. 応募用紙の請求と課題絵本の購入
ご氏名、ご住所、お電話番号、メールアドレスを明記のうえ、関西カタルーニャセンターにメールにてご連絡ください。折り返し応募方法の詳細と応募用紙をお送りします。

2. 参加費、課題絵本料金のお支払い

指定の銀行口座へお振込いただくか、関西カタルーニャセンターにて直接お支払いください。ご入金が確認でき次第、課題絵本をお送りします。

3. 応募作品の提出
ワードで作成した翻訳原稿と必要事項を記入した応募用紙を関西カタルーニャセンターにメールにてご提出ください。

参加費:4,500円(課題絵本1冊と絵本送料込み)

*今回は、参加申込をされた皆様全員にカタルーニャ語版の絵本をお送りします。
スペイン語から日本語への翻訳を希望される方にも、カタルーニャ語の絵本をご購入いただいた上で、スペイン語版のPDFファイルをお送りします。
但し、ファイルの取扱については、その目的が翻訳コンクールへの参加の場合に限り認められておりますので、その他の目的に転用することは、固く禁じます。



応募〆切:
2010年9月15日

受賞者発表: 2010年10月31日

授賞式:2010年12月開催予定の関西カタルーニャセンター主催イベント会場にて


賞:
- スペインでの2週間語学コース(往復航空券は個人負担)
- Triangle Postals出版、エクステンション翻訳のカタルーニャに関する書籍セット(日本語とスペイン語)
- エクステンションでの通訳翻訳者養成コース
- Brosquil Edicions出版のスペインの絵本セット

お問い合わせ・応募受付:
関西カタルーニャセンター「絵本翻訳コンテスト」係
E-mail: exosaka@osb.att.ne.jp
TEL 06-4704-4690 (13:00〜21:00)
〒541-0059 大阪市中央区博労町3-1-8-403





<カタルーニャ語の辞書サイト>


diccionarios.com
http://www.diccionarios.com/

Foreignward.com
http://www.foreignword.com/

Diccionari de la Llengua Catalana "multilingue"
http://www.grec.cat/cgibin/mlt00.pgm






Convocatòria



Requisits per presentar-se al concurs: aquest concurs està obert a totes les persones interessades, independentment de l’edat, nacionalitat o activitat professional.


Enguany, el llibre que cal traduir al japonès és
: El lleó de set colors (en català) / El león de siete colores (en castellà).

El concurs es convoca per traduir al japonès la versió catalana pero això no vol dir que els participants no puguin fer servir la versió castellana com a suport. En cas de necessitar-la, caldrà demanar-la al CCK que us la farà arribar en format PDF.


Per participar en el concurs, cal:

- Enviar un missatge electrònic al CCK demanant que us faci arribar el formulari de sol.licitud. En el missatge electrònic, cal fer-hi constar el vostre nom, adreça postal, un número de telèfon de contacte i l’adreça electrònica.

- Fer el pagament corresponent a la quota de participació. El pagament es pot fer personalment o mitjançant una transferència bancària. A continuació, el CCK us enviarà el llibre i, si l’heu demanat, el PDF la utlització del qual queda prohibida per altres fins que no siguin els establerts.

- Les traduccions acabades, caldrà enviar-les al CCK en format Word juntament amb el formulari de sol.licitud degudament emplenat.


Quota d’inscripció
:  4.500 Yens (El preu inclou el cost del llibre)

Data límit de la sol.licitud: 15 de setembre de 2010

Publicació dels resultats: 31 d’octubre de 2010

Envieu l’inscripció al Centre Català de Kansai

e.mail: exosaka@osb.att.ne.jp

tel.: (81)(0)-6-4704-4690 (13:00-21:00h.)







第5回 絵本翻訳コンテスト 受賞者



最優秀賞

梨木亜紀さん (大阪府) Sra. Aki NASHIKI


特別賞(順不同)

植松友佳理さん(東京都) Sra. Yukari UEMATSU
嶋田真美さん (兵庫県) Sra. Mami SHIMADA
森下嘉子さん (大阪府) Sra. Yoshiko MORISHITA



二次審査に進んだのは以下の20名の皆様です(順不同)

岩田周午さん
佐藤聖子さん
嶋田真美さん
宮崎悠さん
宇野万里穂さん
大上紀世さん
梨木亜紀さん
山口聡海さん
村澤綾子さん
児玉さやかさん
正木緑さん
植松友佳理さん
太田由美子さん
中尾しょうこさん
岩崎たまえさん
ゴマル美保さん
徳山悦子さん
高部良さん
森下嘉子さん
山本朝子さん




第5回 絵本翻訳コンテスト審査員(順不同)


中岡省治氏(前 大阪外国語大学 教授)
坂東省次氏(京都外国語大学 イスパニア語学科 教授)
金関あさ氏(スペイン大使館 経済商務部 書籍担当)
長谷川信弥氏(大阪大学 外国語学部 助教授)
Manuel Sanchez氏(関西カタルーニャセンター 顧問)
モンセ・マリ(関西カタルーニャセンター 代表)







にじいろのライオン

梨木 亜紀 訳



最初にはえてきたのは、赤いたてがみだった。
つづいて青いたてがみが。その次は黄色いのが。
それから、緑色、うす緑青、うすむらさき・・・いろんな色の毛がはえてきた。
川にすがたをうつしてみると、
すんだ水の中に見えたものは、なんとも色とりどりの自分の頭。
ジンミーはクラクラした。
なんでこんな虹みたいな頭なんだ?
ぼくはライオンじゃないのか? ぼくはいったい何ものなんだ?


ほかのライオンたちは、ジンミーの頭が花いっぱいの庭みたいでも 気にしなかった。
それどころか、自分たちとちがっていることにすら気づいていない。
でも ジンミーは、気になってしかたがなかった。
もしかして、もしかしてぼくは、なにか他の生き物なんじゃないだろうか・・・


たまらなくなったジンミーは、ある日お母さんに なやみをすっかり打ち明けた。
けれどもお母さんも、どう答えていいのかわからない。
そこでお母さんはいった。
遠いとおい世界に、旅に出てみたらどうかしら。
サバンナをとりかこむ あの青い山々の向こうには、
その答えを教えてくれるだれかがいるかもしれないよ。


そういうわけでジンミーは、ある日 朝早く、旅に出たんだ。
途中、一本の高い木の上に、カラフルな羽をまとった鳥たちがいるのを見つけた。
「おーい、鳥さん、とりさん!」ジンミーはよびかけた。
「おや、みかけない子だね。何か用かい?」一羽の鳥が、顔をのぞかせてさえずった。
「ねえ、ぼくの頭の色を見てくれる?」
「ああ、見えてるよ。あたしの羽と同じ色だね」
「でしょう?だからたずねてるんだ・・・ もしかしたら、ぼくは鳥なのかな?」
「あんたは空を飛べるのかい?」
「ううん・・・」
「きれいな声で鳴けるかい?」
「できないけど・・・」
「じゃあ、巣を作れるかい?」
「作れない・・・」
「それじゃあ、鳥じゃないね。さよなら」


ジンミーはさらに歩いていった。
何日も何日も歩いていくと、やがて海にでた。
海の中には、きらきら光る魚や貝たちのすがたが見える。
ジンミーは水辺に近づいた。
「おーい、魚くん、さかなくん!」とよびかけると、
「おや、みかけないやつだな。何の用だい?」一匹の魚が返事をかえしてきた。
「あのね、ぼくの頭の色を見てくれる?」
「ああ、見えてるよ。おいらのうろこと同じくらい、色とりどりだなあ」
「だからたずねてるんだ・・・ もしかして、ぼくは魚なのかな?」
「おまえさんは水にもぐれるのかい?」
「ううん・・・」
「目をあけたまま眠れるかい?」
「できない・・・」
「じゃあ、体がかゆいとき、サンゴでかいたりするのかな?」
「しないよ・・・」
「だったら、魚じゃないさ。じゃあな」


それから3日のち、ジンミーは、大きなまちにやってきた。
背の低い家がたちならび、高い塔がそびえている。
長い通りがいくつもはしり、あちこちに曲がり角をつくっている。
行きかう人々、白と金色にかがやくまち。


大きな広場では、たくさんの物売りたちが、さまざまな品物を売っている。
ジンミーはその一人に近づき、よびかけた。


「おじさん、ねえ、物売りのおじさん!」
「おやこれは、めずらしい姿の生き物だわい。何の用かね?」
「ねえ、ぼくの頭の色を見てくれる?」
「ああ、見えとるよ。わしが売っとる布と 同じくらいきれいじゃな」
「だからたずねてるんだ・・・ もしかして、ぼくは布なのかな?」
物売りは笑いながらいった。
「おまえさんの皮はすべすべで、切って使ったりできるかい?」
「ううん・・・」
「それで、すてきな洋服がつくれるかな?」
「つくれない・・・」
「じゃあ、うちに吊るすカーテンになってくれるかね?」
「無理・・・」
「だったら、おまえさんは布じゃあないよ。さよなら」


ジンミーは旅をつづけ、やがて、砂漠に入っていった。
たっぷり歩いたところで、遠くに、緑のオアシスが見えてきた。
高価な品物をはこぶ 何百人もの隊商たちが、ヤシの木かげで休んでいる。
ジンミーは、一人の商人に近づくと声をかけた。
「だんなさん、ねえ、商人のだんなさん!」
「おやおや、奇妙な動物じゃないか。どうしたのかね?」
「ぼくの頭の色を見てくれる?」
「おお、見ておるよ。わしの宝石と同じくらい、きらきら輝いておるな」
「だからたずねてるんだ・・・ もしかして、ぼくは指輪なのかな?」
「まさか!」と男は笑った。
「そしたら王冠?」
「ちがうよ!」
「それじゃあ、首飾りや腕輪とか?」
「いいや!」
「それなら・・・」
「とにかくおまえさんは 宝石なんかじゃないよ。もうお行き」


もう日が暮れようとしていた。太陽が水平線のかなたにしずんでいく。
いちばん星が、小さくウィンクをしてよこす。
ジンミーは夕焼け空を見つめた。
空はさまざまな色を見せている――赤、黄色、うすむらさき・・・
そこでジンミーはよびかけた。
「夕焼け空さん、ねえ、夕焼け空さん!」
「あら、めずらしい動物ね。何か用かしら?」
「あのね、ぼくの頭の色が見える?」
「ええ、見えるわ。私の色によく似ているわね」
「そうでしょう、だからたずねてるんだ・・・ もしかしたら、ぼくは夕焼け空なのかな?」
「あなたは、お星さまを呼んでくることができるの?」
「ううん・・・」
「じゃあ、鳥たちを眠らせることは?」
「できない・・・」
「雲に色をつけることはできるのかしら?」
「無理だよ・・・」
「それなら、夕焼け空ではないわ。さようなら」


すっかり疲れてしまったジンミーは、眠りについた。
次の日、ジンミーが歩いていると、むこうからつれだってやってくる人間たちがいた。
その人たちはみんな、男も女も、肌は夜の闇のようにまっくろで、着ているものは真昼の陽射しのようにあざやかだった。
ジンミーは、なかの一人に近づいた。
「おじさん、ねえ、おじさん!」
「おや、変わった生き物だね、何か用かな?」
「うん、ぼくの頭を見てくれる?」
「ああ、わたしたちの服のような色だね」
「だから聞きたくて・・・。ぼくは、もしかしたら、人間なのかな?」
「きみは、わらったり、歌をうたったりできるかい?」
「ううん・・・」
「じゃあ、おどることは?」
「できない・・・」
「だったら、人間じゃあないね。
 賢者さまにたずねてごらんよ、あそこの木の下で眠っているから。それじゃあね」


ジンミーは賢者のところに行き、声をかけた。
「賢者さま!賢者さま、ねえ、おきてください!」
「何の用かな、なないろのライオンや」
「教えてください、どうしてぼくの頭は、こんなに色とりどりなのですか?」
「星たちはどこで眠るのか、風たちは全部で何人いるのか・・・知りたきゃわしにたずねるがよい。
 海の底まではどれくらいか、川は何年ながれつづけておるのか・・・それもわしが教えてやろう。
 だがな、わしにきいちゃならんこともある。
 おまえが探しておる答えは、詩人さまだけが知っておるからじゃ。
 洞窟に行って、会ってくるといい」


ジンミーが大きな洞窟に入っていくと、そこには年老いた詩人がいた。
「どうしたんじゃね、にじいろのライオンや」詩人はジンミーを見ていった。
「教えてください、どうしてぼくは、こんなすがたなのですか?
 ・・・ 他のライオンとちがうんです」
「おまえさんは、夢は持っておるかな?」
「はい、たくさん」
「それならば、その頭のいろんな色は、
 おまえさんが頭に思い描いたいろんな夢の色じゃ。
 おまえさんはライオンじゃよ、けれど夢見るライオンなんじゃ。
 そこがちがうんじゃよ」


それからというもの、ジンミーは、もうなやまなかった。
いろんなことを どんどん夢見つづけたんだ。
あまりに夢見すぎたものだから、ついには しっぽの先まですっかりと、赤色、青色、うすむらさきに・・・


おしまい



 


Sant Jordi 2010 『世界本の日』記念
第5回 絵本翻訳コンテスト
授賞式


Sant Jordi 2010『世界本の日』記念 第5回絵本翻訳コンテストの授賞式が、2010年12月12日(日)、関西カタルーニャセンター、日本スペイン文化経済交流センターEXTENSION主催のクリスマスパーティー会場にて行われました。

授賞式には、 最優秀賞の梨木亜紀さん、特別賞の嶋田真美さん、森下嘉子さんがご出席下さいました。

また同時に、昨年のSant Jordi 2009『世界本の日』記念 第4回絵本翻訳コンテストの授賞式も行われ、最優秀賞の吉田羊緒子さん、特別賞の中村美乃さんがご出席下さいました。


最優秀賞 梨木亜紀さん
特別賞 嶋田真美さん
特別賞 森下嘉子さん

第5回絵本翻訳コンテスト「El lleó de set colors」の最優秀作品を朗読くださった梨木亜紀さん

昨年行われた第4回絵本翻訳コンテストの課題作品であり、かつ第1回 絵本挿絵コンテストの課題作品でもあった「El Bou i La Mula」の挿絵最優秀作品を紹介しながら、スペイン語バージョンを読むモンセ・マリ
第4回 最優秀賞 吉田羊緒子さん
第4回 特別賞 中村美乃さん




関西カタルーニャセンターは、スペイン・カタルーニャ州政府議会により承認された公式センターです。

関西カタルーニャセンター
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