CCK代表 モンセ・マリのバルセロナ便り Vol.5
「枝の主日」

約2年ぶりの更新となる「モンセ・マリのバルセロナ便り」です。
不定期とはいえども、かなりご無沙汰でした。本当に申し訳ありません。

さて、今回のテーマは「枝の主日」です。
これは復活祭(イースター)直前の聖週間の第1日目の日曜日を指します。
復活祭自体が、「春分後の最初の満月の後の日曜日」という定義であるため、復活祭前の1週間にあたる聖週間も、この枝の主日も、3月だったり4月だったり、その年によってかなり日付に差がありますが、今年はかなり早めの枝の主日となりました。

「イースター」は、今では日本でもかなり耳馴染みのある言葉になりましたが、その宗教的意味や行事について、今回の「枝の主日」、そして次回予定の「復活祭」のレポートでご紹介します。



ここ数年というもの、聖週間の第1日目にあたる「枝の主日」の行事には参加していなかったのですが、去る3月16日、私と同じようにこの時期にたまたまバルセロナに来ていた日本在住の友人に誘われて行ってきました。

この行事の起源はもちろん宗教的なもので、聖マルコの福音書によると、キリストのエルサレム入城を記念する行事です。福音書には、キリストがロバにまたがってエルサレムに入ると、群衆は自分たちのマントと木の枝を地面に敷き詰め、皆「ホサナ」と賛美の声をあげた、との記述があります。

枝の主日の典礼的行事は、人々が手にしたパルマス(ナツメヤシの葉で作った短い飾り棒)やパルモネス(ナツメヤシの枝と葉で作った長い飾り棒)、またオリーブや月桂樹の枝を祝別することからはじまります。祝別されたパルマス、パルモネス、オリーブや月桂樹の枝は、翌年まで保存され、各家庭のバルコニーに吊るされることもあります。

祝別用の枝

パルモネス

パルマス


祝別用のパルマスやパルモネスには、葉緑素の色が出ないよう日差しを避けて育てられたナツメヤシの枝葉が使われます。この祝別用のパルマス作りには、長時間の手仕事が必要です。薄い葉は繊細な装飾用、分厚い葉はまた違った装飾用に使われます。また枝の先の部分は、シンプルなパルモネスを作るのに使われます。パルマスやパルモネスには、ナツメヤシの葉で作った三つ編みや花飾り以外の装飾も付けられ、リボン飾りや砂糖で作ったロザリオ、人形などがあります。現在、パルマスやパルモネスを作っている職人さんがもうあまりいないため、枝の主日が近づくと、臨時作業員の助けが必要になります。というのも、パルマスとパルモネスの需要はスペイン国内市場に留まらず、アイルランドやスイス、オーストリア、アンドラといった国々にも輸出されているからなのです。

写真でもご覧いただけますように、今回私が参加したのは、サグラダ・ファミリアの受難のファサード前で行われた屋外での式典でした。幸運にも天候に恵まれ、多言語で執り行われたこの式典を、様々な国の人々が楽しんでいました。しかも、この式典では、なんと日本語での聖書の朗読もあったのです。これは、私が子どもの頃には考えられなかったことです。このように、バルセロナは伝統を失うことなく、国際的な大都市へと発展しています。

(ベビーカーに乗った子どもが手にしているのは、小さなサイズのパルマスです。
パルマスには、 ブローチサイズのものなど、様々なサイズのものがあります。)







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